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敬老パスについて(川崎市・名古屋市)

前日の38℃の暑さから雨も少し降って気温が少し下がり、移動しやすくなった23日、川崎市・名古屋市と敬老パスの調査に行ってきました。神戸市の敬老パスは、現在、大学の先生等の有識者と、老人クラブや婦人会、自治会といった市民の代表者、市側の各委員で構成される懇話会で、制度維持のための検討が行われてきているところです。

川崎市・・・制度維持のために市民負担を求めるにあたって、応能か応益かを検討し、所得によって負担に差がある横浜市のような応能負担をとらず、利用した人が負担する応益負担の制度を選んだ。敬老乗車証を提示すると半額負担の100円で乗車できる制度に、更に、年間¥12000(1ヶ月¥1000等もあり)でフリーパスを購入することで、何度でも乗車できる制度もあり、よく利用する人はフリーパスを買って利用している。対象は70歳以上。市内を走る市営バス(42.5%)、民間バス(57.5%)どちらも利用できる。制度導入前の補助金等の予算規模は年間26億円だったが、導入によって13億円に。乗車証明書の発行は14.1万枚で、このうちフリーパスは3.3万枚。乗車人数調査に基づいた補助金を支払っている。ただし、月平均10回くらいと見込んでいたフリーパスの利用率は、平均35回くらいとなっており、負担を見直してほしいというバス事業者からの声も上がっている。

名古屋市・・・H16年9月から一部負担金制度を導入。介護保険の保険料に合わせて3段階(年間¥1000、¥3000、¥5000)の負担。(このうち、¥3000は税制改正に伴う急激な負担増の対象者への2年間の経過措置のため、実質2段階)市バス・市営地下鉄で利用できる。65歳以上で利用でき、約30万人が対象者。一部負担金を含めた予算規模は年間123億円で、うち113億円が一般会計からの拠出。市バスには65億円。乗車証は検札システムの導入によって、すべて実態把握が可能となっており、利用された分すべての利用料を市バス・地下鉄の事業主に支払っている。

ここで、神戸市の現状を少し書いておきます。対象は70歳以上で、市バス・民間バス・地下鉄・新交通のどれにも乗車可能です。一部負担金は、高所得者(大体収入で500数十万円以上)の方のみ、年額3万円を負担していただいています。H17年度の総発行枚数は約16万枚ですが、この層の方はは全体の1%に満たないため、ほとんどの方は負担なしで利用できる制度になっています。市バス・民間バス・地下鉄等への負担金は約35億円。10年間で1.5倍に増えた利用者に比べ、負担金の額は上がっておらず、民間バスの事業者からも維持できないと言う声が上がってきています。(ちなみに地下鉄への負担額はごく少なく、ほとんど助成されていません。)また、利用者は10年後に20万人が予想されることから、制度維持のための検討会が持たれた次第です。この制度は高齢者の皆さんに気軽に外出してもらえるよう作られた非常に価値ある制度、どうすれば負担を最小限に維持できるかが検討されています。(一部廃止の検討をしているような報道もありましたが、廃止の検討は全く行われていません。)

神戸市と財政事情の異なる名古屋市の例はあまり直接的には参考にできない(視察を受けてくださった名古屋市さん、ごめんなさい。こんなに格差があるとは思いませんでした。)と思いますが、フリーパスを残した川崎の方式は参考にできるのではないかと思います。(ただし、既にフリーパスでも見込み違いがあったということで、助成の増額が要望されている点が気になりますが。)

以上、4箇所を巡る視察報告終了です。

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