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連合研修会

 現在、国会に労働法制の改正のための関連法案が出されていますが、こうした法案に対して、労働者の労働環境の悪化を引き起こしかねない恐れがあることから、連合が全国でキャンペーン行動を行っています。その一環として、先日、連行兵庫主催の研修会が行われ、フォーラム兵庫・フォーラム神戸の所属議員も参加しました。

 たくさんの勉強資料がありますが、このページを訪問していただいた方に、ぜひとも知っていただきたい点だけをまとめます。

<その1>
今回の改正点は、長時間労働の是正が目的と聞いていますが、本来の労働者保護の観点に立つのは、この点のみです。
働きすぎ防止として、中小企業も月60時間を超える残業代が1.5倍になることや、有給休暇のうち5日を時季を指定して年休として付与しなければならない、という点は、働きすぎ防止につながる改正です。

<その2>
まず、裁量労働の対象業務が広がります。

「企画業務型裁量労働制」という、いわゆる裁量労働(残業時間等も含めて出退勤時間など、労働者に任せる制度)を認める分野に、

「課題解決型提案営業の業務」 と 「企画立案調査分析を一体的に行う業務」

が加えられます。

これによって、「普通の営業職」でも、裁量労働の分野に入れられる恐れがあり、しかも、高度プロフェッショナルでは、1075万円以上という賃金の枠がありますが、こちらの裁量労働には規定がありません。実は、高度プロフェッショナル制度よりも、こちらの方が運用によっては危険な方向に行く可能性があります。

<その3>
 かつて騒がれて成立までいかなかったホワイトカラーエグゼンプションの制度とほぼ同じ内容のものが、高度プロフェッショナル制度として盛り込まれています。具体的には、研究者や金融のアナリストなどの特殊な技術や専門的知識を持って働く業務が対象で、時間外労働などの適用を除外して働く制度です。年収は、「1年間に支払われることが確実にも見込まれる賃金の額が平均給与年収の3倍を相当程度上回る」とされ、年収1075万円を参考に、法案成立後、省令で決められます。省令で決められるということは、国会審議等が不要となり、手続きのみ(審議会を経る必要はありますが)で、省令を変更することができ、更に年収の枠が下がる可能性があります。


<その4>
労働者派遣法の改正。現在は、3年経つと、派遣の見直しが必要ですが、改正案では、派遣期間3年後、人を変更することで、同じ派遣労働が継続可能になります。連合が「生涯派遣労働」を許容することになると、強く反対しているものです。

<その5>
これは、最近、言われているものですが、年金積立金の運用の見直しが行われています。すでに、運用の基本ポートフォリオ(運用資産の構成割合)は、大幅に変更されています。
2014年では、年金の保険料収入が34兆円、国庫負担金12兆円と合わせても、給付の54兆円には8兆円不足があります。不足分は、積立金の運用して賄うことになりますが、全体の積立金155兆円のうち、国民年金と厚生年金の積み立て分130兆円を運用する組織が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。
昨年2014年10月31日に次のように変更されました。
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株式や外国債券など、ハイリスクな運用先の比率が大幅に増えています。また、このGPIFに対して、ガバナンス(監督・監視)の在り方検討作業班という会があり、労使代表も参加していますが、議論の要約に対して、意見を言っています。労使は、経団連代表の委員と、連合の委員さん。会社側の代表と労働側の代表が、自分たちの積み立てた年金の積立金であり、監督していく構造に、被保険者である労使の代表を入れることや、金融のプロだけで構成する運用委員会の設置やリスクの高い運用に対する反対など、意見を一緒に出しています。
リーマンショックでも、リスクの低い運用を行っていたため、ミニマムの損失でカバーできたのに、ハイリスク・ハイリターンの運用を行えば、最悪30兆円規模の損失もありうると指摘もされているとのこと。

<最後に>
これらの問題は、連合が全国の皆さんに訴えているところですが、実際に法改正が進めば困ってくる対象の人たちになかなか浸透していないように感じます。
国会では、民主党の議員が、こうした点を質問し、問題点を指摘していますが、メディアもあまり取り上げてくれないので、世間の関心の低さを感じます。連合から来ていただいた講師の先生方は、反対で廃案にすると、長時間労働や過労死防止につながらず、今までと変わらない。不要な部分を削除して過労死防止の内容を盛り込むべき、と、また、難しいことをおっしゃっておられましたが、今の国会でそんなことができるのか、不安です。

今、皆さんに考えていただきたいのは、労働者側だけの問題でなくて、企業側にいる人も、いずれ年金をもらって暮らす人の方が多いでしょう?また、ご自身は正社員であっても、子どもさんやお孫さんは就職で苦労していませんか?まずは、皆さんに法改正の内容などに関心を持っていただきたいと思います。

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