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2019年予算市会(総括質問)

予算特別委員会では、理事を務めさせていただきましたので、会派を代表して、局別審査終了後に、市長副市長に対して総括質問をいたしました。

*予算特別委員会の流れ
予算の議案及び関連議案が本会議で上程され、予算特別委員会に付託される。
委員長、副委員長、理事、分科会委員(分科会は3つ)を決定する。
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局別審査(3つの分科会に分かれて審査、大体1日にひとつの局)
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総括質問(各会派代表、無所属の委員、1日)
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意見表明(各会派代表、無所属の委員)
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意見決定(採決)
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   本会議
(予算特別委員長から報告を受ける)
(討論)反対意見などを述べる
(採決)
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2019年の予算成立

となります。(大体の流れです)

今回の予算特別委員会では、会派を代表して環境局、保健福祉局の局別審査を担当しました。
また、総括質問、意見表明を担当しています。総括質問は、局別審査で不十分だった課題について、市長・副市長に質疑をします。
<総括質問 こうべ市民連合議員団>
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◎認知症の人にやさしいまちづくりについて
 この条例は、平成28年9月に神戸市においてG7の保健大臣会合が開催され、認知症対策を盛り込んだ「神戸宣言」が採択されたことから始まっている。この宣言では、認知症の早期発見・早期介入や、認知症治療薬の研究・予防など、幅広く研究分野と連携していくことがうたわれており、得られた成果を市民に還元することとされている。
この点について、保健福祉局の局別審査で質問を行い、「神戸大学とWHOによる8万人の神戸市民の介護保険データの研究や、医療産業都市推進機構でのアルツハイマー病の研究の支援を行う」「ヘルスケア分野の製品支援では、開発されたアプリを「神戸モデル」で認知機能に障害があった方に試行していく」などの答弁があった。これらの進捗状況や、今後の予定について伺いたい。
<久元市長/答弁> 
具体的には、平成29年8月から神戸大学とWHO神戸センターの研究者による認知症の早期発見及び早期介入の研究を開始し、約8万人の70歳代の神戸市民が実施した国が示す介護保険制度の「基本チェックリスト」や、薬局や集団健診会場等において実施した神戸市独自の「フレイルチェック」の対象者について、これらの結果と、その後の要介護認定情報を個々の人ごとに紐づけて調査をしている。平成32年度中にデータを分析し、認知機能の変化や要介護状態との関連性についての研究結果を発表する予定である。
本庶佑先生が理事長を務める医療産業都市推進機構においては、従来からポジトロン断層法による認知症の早期診断に関する研究や、脳血管活性化による認知症予防に関する研究等が進められている。地元のイーライ・リリー社とも神戸市を含めた認知症にやさしいまちづくり推進のための三者協定を締結している。
さらに、認知症の治療方法開発に繋げるため、アルツハイマー病患者の脳で起こる神経細胞死のメカニズムの解明が進められている。
このように、最高水準の知見も活用しながら、早期発見・早期介入に繋がる方策を講じてまいりたい。
<再質問>
認知症の研究や調査結果の分析を進めている一方で、健康創造都市KOBEの取り組みが始まっている。
先日公表された市民PHRシステムでは、市民1人1人がアプリ等を使って自身の健康データを管理し、また、神戸市は登録されたデータを分析することが可能になるが、認知症「神戸モデル」とどのように関連するのか伺いたい。
<寺﨑副市長/答弁>
「MY CONDITION KOBE」には、現時点では、認知症「神戸モデル」の第1段階の認知機能検診や第2段階の認知機能精密検査のデータを加える予定はない。しかし、本人が希望すれば認知症やMCIと診断された方が、本アプリに登録することは可能である。
今後、医療産業都市推進機構、神戸大学、WHO神戸センター等と協働して実施するMCIを対象とした治験や非薬物の介入研究等で、健診データや生活データを活用し、経年的に解析・評価することで、認知症の予防や早期介入に役立つような知見を見出すことができるのではないかと期待している。
また、将来的に企業と学術機関の共同研究に、ご指摘のあった「MY CONDITION KOBE」のデータを利用することで、新たなヘルスケア分野の製品・サービスの研究開発支援を促進することが可能になると考えている。
<再々質問>
先日の局別審査で、「健康とくらしの調査」において、健康寿命の延伸には読書が一番であるとの結果が出たと答弁があった。
神戸市が参加した調査から、そのような結果が出ているのであれば、神戸市の中で留めず、少しでも市民に広報紙等で分かりやすく知らせる必要があると思うが、見解を伺いたい。
<寺﨑副市長/答弁>
ご指摘の研究で得た知見についても、市民に十分周知徹底をしていきたいと考えている。

◎訪日外国人・定住外国人への対応について
 危機管理室の局審査では、「訪日外国人に対する観光危機」について、また、代表質問では、「今後増加が見込まれる外国人への対応」について質問した。
平成30年度に、庁内で連携する「観光危機管理」チームが立ち上げられたことは評価しているが、ラグビーワールドカップの開催が目前に迫る中、31年度中に策定される「観光危機管理マニュアル」が間に合わないのではと危惧している。
喫緊の課題となるラグビーワールドカップでの災害時外国人対応について、また、避難所や観光施設での多言語化について、伺いたい。
<久元市長/答弁>
2月17日には、ラグビーワールドカップ開催地であるノエビアスタジアムにおいて、テロを想定した兵庫県国民保護共同訓練を実施した。訓練項目には、外国人の避難誘導や緊急避難場所における外国人避難者の受け入れ訓練等を含め、その実効性を確認した。
平成31年度のラグビーワールドカップ開催までに、平常時・災害時のあり方を含めた観光危機管理マニュアルを策定し、訓練も実施予定である。また、会場及び会場周辺での観客案内や誘導サインのほか、市内7ヶ所に設置する案内所において日本語と英語両方での対応を実施したい。
当日、試合会場周辺における安全対策として、警察や海上保安庁等、関係機関が緊密に連携し、テロ・自然災害・事故などの有事の際に迅速な対応が行えるよう万全を期す。 
避難所での多言語対応については、通訳の派遣等に加え、ホームページやSNS等を活用した避難情報・災害情報を発信していくほか、観光施設での多言語対応については、多言語による避難方法の案内や災害情報の発信、観光施設職員による災害対応訓練等の実施を行いたい。今後は音声AI技術を使った多言語音声翻訳サービス等、新たな技術の実用化を検討進めたい。
今後も増大が見込まれる外国人旅行者にとって、安全で安心な観光地となるよう連携して取り組んでいく。
<再質問>
 私たちの会派では、「やさしい日本語表記」について広めることを、これまで提案してきた。例えば、避難所などで、ベトナム人対応としてベトナム語表記をするということも大切だが、日本にある程度いる方なら、簡単な日本語ならわかるという場合もある。やさしい日本語での表記をしておけば、伝わりやすいと思うが、見解を伺いたい。
<久元市長/答弁>
 ご指摘いただいた点は、大変重要である。日本語が全く分からない方に対しては、その言語で表示する取り組みを進める一方で、簡単な日本語ならわかるという方はたくさんいる。
平成31年1月より広報課ツイッターによる災害情報等に「やさしい日本語」を追加した。また、避難所等に、災害種別を示すピクトグラムにやさしい日本語を加える取り組みもしている。例えば、「余震」であれば、「後で来る地震」といった表記をするのだが、こういった取り組みを進めたい。
 質問の主旨とは離れるが、外国人向け以前に、普通の市民に対して、あまりにも難しい・わかりにくい日本語表記が大変多い。全庁的に、改善に取り組みたいと考えている。

◎森林環境譲与税と木材利用の推進について
 住宅都市局では木材利用の促進について, 環境局では森林環境譲与税について質疑を行った。住宅都市局では, 押部谷東地域福祉センターなど,木材の積極活用に取り組んでいることなどの答弁があった。
 森林環境譲与税は, 今後一定の財源として見込まれるものであり, 環境局, 建設局が関連すると思うが,経済観光局, 住宅都市局とも連携をし, 市が建築する建物への木材利用に留まらず,民間団体などにも呼びかけを行い, 兵庫県産の木材利用の促進に向けた市民への広報や, 六甲山の保全に関する市民への啓発, 広報も兼ねた間伐財の利用促進等に積極的に取り組んではどうかと考えるが,見解を伺いたい。
<岡口副市長/答弁>
 本市では,これまでも,県産材の大消費地として,公共建築物への木材利用を促進することによって,市民に情報発信してきた。
 今年1月の押部谷東地域福祉センターの完成時には,木材利用促進への理解を深めていただくとともに,今後の設計業務等の参考としていただくため,市内の設計事務所等を対象に見学会を開催した。
 市としては,今後も木材利用施設の完成時等に適宜,こうした見学会や勉強会を設けるなど,設計事務所や施工者を含めた民間団体等への普及啓発に取り組んでいく。
あわせて,このような公共建築物や民間施設などの活用事例や見学会の様子等を広報するホームページを今年度中に作成するなど,木材利用の意義や良さのPRとあわせて,市民が木材利用に興味や意識を持っていただけるような取り組みを進めていきたいと考えている。
<再質問>
 色々と取り組んでいることは分かったが、今まで進まなかった木材の利用が森林整備につながるということが、市民にとって少し遠い感じがするのではないかと思う。森林環境譲与税の導入は、国民全員で山を守っていくということの一つの具体的な手段でもあると思っており、その中には木材利用の促進や普及啓発等が実際にうたわれているので、今までやりにくかった啓発やイベント的なことも、この森林環境譲与税を使って何かできるのではないかと、とても期待をして質問をした。今まで色々してきているのは分かるが、もう少し踏み込んで、木材利用を市民に、実際に自分たちの問題として広めていくために、もう一つ何か踏み込んだことをお願いしたいが、どうか。
<久元市長/答弁>
 委員のご指摘については、共感するところがある。他の自治体に比べ神戸市内では、必ずしも木材利用に対する理解が深いとは言えないと思う。その大きな理由は、神戸市には多くの森林資源があるが、林業がほとんど存在せず、なかなか木材を利用する産業がない。製材所はあるが木材を生産する林業が神戸市では育ってこなかった。
 しかし一方で兵庫県は、かなり大きな林業県である。知事との県市の懇談会の時に、神戸市で積極的に木材利用を図っていきたいということをむしろ私の方から問題提起をした。県市の間の連携をさらに進めることが必要であり、岡口副市長からご答弁申し上げたように、公共建築物での利用もどんどん進めていきたいと思っている。この点については、住宅都市局の三木担当局長以下、特に建築職の皆さんはものすごく大きな問題意識を持って取り組んでくれている。委員ご指摘のように、さらに踏み込んで市民に対して理解を深めていく取組みは大変重要だと思うので、ご指摘を踏まえながら全力で取り組んでいきたい。
<要望>
 木材利用の促進といっても市内の林業がないということで、例えば地産地消の条例にも入れられなかったようなこともあるので、この森林環境譲与税をきっかけにして、ぜひとも前進していただきたいということをお願いする。

◎シルバーパワーによる地域の担い手づくりについて
 局別審査において保健福祉局からは、シルバーパワーによる地域の担い手づくりについて、「平成31年度は兵庫区、須磨区、西区の3区で区社会福祉協議会のボランティアセンターと連携して、金銭管理の事業を手伝うことからスタートする」との答弁をいただいた。まずは、他の区への拡大や保健福祉局内での他のニーズへの拡大を検討していただきたいと思う。
さらに今後は、保健福祉局の個別の取組みには終わらずに、今後、有償ボランティアという制度のニーズ・シーズを検討して、シルバーパワーによる地域の担い手づくりが、これからの高齢化社会の一つの切り札として定着できるように推進していくべきと考えるが、見解を伺いたい。
<寺﨑副市長/答弁>
 来年度のモデル事業では、単身高齢者世帯の割合や高齢化率等が比較的高い兵庫区・須磨区・西区の3区においてボランティアコーディネーターの体制強化を実施する予定であるが、3年かけて全区で体制強化を図り、全市実施を目標としている。
今回のモデル事業は、急増する金銭管理サービスのニーズに着目して実施するものであるが、そのほかにも様々な場面でシルバーパワーによる地域の担い手づくりが必要となると認識している。
今後、今回のモデル事業の実施状況などを検証しながら、各区社会福祉協議会のボランティアセンターにおいて、掃除や買い物、外出援助、ごみ出しなど地域での生活援助ニーズに対して、それぞれのライフスタイルに応じた短時間の仕事を求める高齢者を積極的に紹介・斡旋できるよう、順次取り組み、地域におけるシルバーパワーの活用を図ってまいりたい。
<再質問>
WHOの神戸センター長も健康と暮らしの関連について言及している。暮らしの中で、高齢者の方々が地域で活動することは非常に重要である。その点で、無償ではなく、有償でボランティアできることは仕組みとして重要である。
ぜひとも、保健福祉局だけではなく、市全体の取り組みとして、今回のモデル事業を定着していただきたいと思うが、改めて見解を伺いたい。
<寺﨑副市長/答弁>
シルバーパワーによる地域の担い手づくりは健康寿命の延伸を推進する中で、支援を必要とする方と支援する担い手の双方にとって必要な取組みである。すなわち、様々なライフスタイルに合わせた社会参加が可能な地域づくりと、認知症の方等への金銭管理サービスやそのほか様々な家事援助といったニーズが双方に結び合うことがきわめて重要である。
保健福祉局のみならず、市の課題として取組んでまいりたい。

◎全庁で取り組む交通局の経営改善について
交通局では、局採用者に対して5%の給与カットが行われており、平成35年度からは10%カットとなる予定であるが、31年度予算においても、市バス事業では約3億6,000万円の赤字が見込まれており厳しい状況が続いている。
基金の繰入や高速鉄道事業側の給与カットで生み出された財源での資金手当て、土地売却等で対処をしていくとのことだが、交通インフラを活かした駅ナカビジネスの拡張や、広告料収入など、さらなる収益アップをはかっていくことが必要であると考える。
また名谷駅の改修について、企画調整局が補助を検討しているが、今後とも、市民の足として、市バス路線や地下鉄を堅持していくために、他局の施策においても、市バス地下鉄を有効活用できないものか。
例えば、高齢者福祉の観点から敬老パス制度があるように、子育て支援という観点から、定期代割引を民間並みに補助することはできないか。
また、市バスのラッピング広告は大変効果が高いと考えられるので、各局で重点的に広報に取り組みたいものに積極的に活用するなど、赤字になってから繰入れるのではなく、市の施策と相乗効果があるものについて、先に交通局に投資していくということができないものなのか、見解を伺いたい。
<岡口副市長/答弁>
 平成29年7月から地下鉄海岸線中学生以下無料化社会実験を実施しており、一般会計が乗車料の8割を負担しているところである。
 来年度予算においても一般会計では、子育て世帯への経済的な負担の軽減や支援に取り組むべく様々な予算を計上しており、一般会計からの補助金による子育て施策としての子どもの地下鉄定期割引率の引き上げについては、より多くの財源を必要とすることから慎重に判断する必要があると考えている。
 また、市バスのラッピング広告についても広報する事業に合わせて、ターゲットやタイミング、費用対効果などを見極めたうえで検討する必要があると考えており、これについては議論を進めていきたいと考えている。
 いずれにせよ、交通局の経営改善については、まずは交通局において、さらなる経費削減や収益力向上などの取り組みを行うべき必要があると考えている。
 その上で、市が掲げる政策目標に対して、その事業内容や実施方法が交通局の経営改善に資するものと考えられる事業については、局横断的な視野を持って連携を検討していきたい。
<要望>
 今年度は、妙法寺の土地売却によって基金を造成することができたが、こういった手法をずっと続けていくことはできない。財源の問題もあり、すぐにどうこうするというのは難しいかもしれないが、何か継続的に実施できるような手法を全庁を挙げて考えていただき、市民の足を守っていただきたい。

〇要望のみ発言した項目
<要望1>
学校図書館の司書配置について、H31年度、兼任配置の試行をされるということですが、司書の業務は、1校に専任することでこそ、発揮できるものであり、兼任になると十分な効果が得られないことも懸念されます。1校ひとり配置、速やかな全校配置を要望します。
<要望2>
 垂水体育館・垂水養護学校跡地への中核的医療機関の誘致について、計画の概要や誘致する必要性、条件など、地元への丁寧な説明を行い、確実な産科・小児科の病床確保につながるよう要望いたします。

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